Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

リヨン第三大学
2015年11月号 法学部 H.I

<カルチャーショックについて>

仕事に関してフランス人のやる気のなさは話に聞いていましたが、想像以上です。留学生はビザ手続きのためOFIIというところに書類を提出し、決められた日時に健康診断を受けなければならないのですが、その日時を知らせる手紙が全く届きません。郵送途中で手紙がなくなることもしばしばなので確認に行っても「待て」の一点張り、郵送したかどうか確認してくれません。「学生が多いからだ」と言っていましたが、やる気のなさは見て取れます。おかげで手続きが進みません。またそれとも関係することとして、連絡不足があります。こちらからメールなどをしても返事がろくに返ってきません。こちらとしてはどうなったか不安になるのでしびれを切らして確認しようとするころ、ようやく返事がきたり自分で確認して知ることになります。

もう一つ、これも聞いてはいましたが、フランス人は計算が苦手です。買い物でレジへの商品入力はバーコード読み取りなのでそれほど問題ありませんが、おつりを渡すのにかなりの確立で間違えてくれます。そして抗議しても訂正してくれないことも多いです。そのため私は基本的に銀行のカードを使っています。

<テロについて>

11月13日にパリとその近郊でテロがありました。幸いここリヨンでテロは起きていませんが、過激派の拠点で武器を押収したという報道がありました。その影響もあって毎年12月に開かれる光の祭典La fête des lumièresは中止とのことですが、観光客や留学生にとっては残念かもしれませんが、それは致し方ないというよりも良い判断だと思います。日常生活において特にテロの影響はありませんが、大学や駅前など人の集まるところで警備員や警察の数が増えたのははっきりとわかります。また市立図書館の入り口でもそれまでなかった荷物チェックがあるなど、多少は影響があります。大学からも安心して勉強するようにとのメールが来ていました。また13日は金曜日だったので、16日月曜日の昼に大学の中庭で追悼式が行われていました。12月1日現在でもそうですが、まだフランスはテロの動揺から完全には立ち直れていない感じがします。

ただ私がフランス人・フランスの報道に対しての違和感を覚えているのもまた事実です。もちろんテロが起きたことは残念だし、犠牲となった人々を追悼するのもよくわかります。しかしそんな「被害者としてのフランス」がある一方で、「そもそもなぜフランスが狙われたのか」を考える必要があるでしょう。それを考えると出てくるのはシリアで軍事作戦を続け、アフリカで部隊を展開し、利権をあさるフランスの姿です。軍事行動を起こすということは多かれ少なかれ、また故意か偶然かは別として一般市民の犠牲がつきものです。それには何の関心も寄せず、加害者であることは隠して被害者の側面だけを強調するフランスに私は違和感を覚えるのです。

ただ今回の事件で一番違和感があったのはgoogleでした。私は自分のPCのホームページにgoogleを設定しているのですが、テロの後数日間追悼の意味で黒いリボンが表示されていました。しかし世界では残念ながら毎日のようにテロが至るところで起きています。それなのになぜ他のテロには何の反応も示さず今回のテロだけ特別視するのか。フランスが今回のテロを特別視するのは理解できますが、googleが特別視するのが私は理解できません。