Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

東フィンランド大学
2016年3月号 経済学部 D.K

―余暇の過ごし方―

おそらく、日本からの交換留学生はフィンランドでアルバイトはせず、また履修する単位数あるいは授業時間数も少ないため、自分で自由に使える時間は日本で生活している時と比べ、多いように思います。さらに、交換留学生としてフィンランドという英語も含めた様々な言語が日常的に飛び交う環境の中で生活し、学修できる期間も約9カ月と限られています。だからこそ、いかにこの限られた留学期間の中で時間を有効にかつ効果的に使うか、ということが交換留学生には重要になってくると私は信じています。私もこれ程まで何に時間を投資し、何に投資すべきではないか、ということを慎重に考えたことはありませんでした。私は学修に費やす時間と、友人と食事をしたり、遊びに出かけたりするいわゆる娯楽に費やす時間のバランスを心掛けてフィンランドで生活をしています。東フィンランド大学があるヨエンスーという街は比較的小さく、大型ショッピングセンターなどといった娯楽のための施設はとても多いとは言えません。そして、もちろんフィンランドは日本と比べ寒いです。そのため、必然的に自分の部屋あるいは室内で過ごす時間が多くなってきます。私は室内にいる時は、図書館で借りた本やニュースサイトなど読み物をして時間を過ごしています。ただ1つアドバイスではないですが、今まで約7カ月間交換留学生としてフィンランドで生活をしてきて思うことは、フィンランドという様々な言語が飛び交う異国の環境にいるのだから、室内で読み物をして時間を費やすよりもむしろ、外に出てフィンランド人や様々な国籍の人と会話をし、様々な価値観や考え方、文化や知識に触れ、それらを吸収することに時間を費やすべきだ、ということです。今の時代、日本にいながらインターネットを通して外国の文献やニュースサイトなどに容易にアクセスできます。つまり、英語の文献を読むことなんて今の時代、いつでもどこでもできることなのです。それよりも、今フィンランドにいるからこそ、あるいはフィンランドにいなければ体験できないことに時間を費やすべきだと実感しています。

 

―フィンランド人の価値観について―

もちろん、私は自分でつけたこの”フィンランド人の価値観について”というテーマが様々な議論を呼ぶこと、あるいは多くの人がこのテーマに不快感を抱くであろうことはよく承知しています。なぜなら、人間の価値観というのは人それぞれで、生まれ育った国、あるいは国籍だけで判断されるべきものではないからです。ただここで私が述べることは、あくまで約7カ月フィンランドで生活してきた中で私が個人的に感じた、多くのフィンランド人が共通して持っているであろう、あるいはフィンランド人の間に深く根付いているであろう価値観についてです。その価値観というのは、互助精神あるいは連帯の精神です。約2週間程前、国連によって2016年版のWorld Happiness Reportが発行されました。例年通り、北欧の国々が上位を占めており1位はデンマーク、そしてフィンランドは5位にランクインしています。このレポートの編集者の1人であるJohn Helliwellは、毎年北欧の国々が上位を占めている要因は手厚い社会保障だけではなく、北欧の人々の間に根付いている相互扶助の精神にあると分析しています。実際にフィンランドで生活をしてみると、フィンランド人の間に互助精神が深く根付いていることを実感させられる機会によく遭遇します。特に私が感動した体験は、フィンランド人の友人と駅の待合室で電車を待っていた時のことです。ある1人の男性がトイレに入るため50セント2枚を機械に入れようとしましたが、その機械は1ユーロのコインしか受け付けていませんでした。困った男性は、待合室で待っている他の人々に誰か両替してくれないか頼みました。すると、その待合室で待っていた全ての人が財布を取り出し、その男性のため1ユーロ硬貨を探したのです。私は驚かされたのと同時に、すぐさま財布を取りださなかった自分を情けなく感じました。なんでもビジネスあるいは商業化されてしまう現代において、互助精神をもう一度見直す必要性をフィンランドで生活する中で強く実感しています。