Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

東フィンランド大学
2012年12-1月号 文学部 M.A

~冬期休暇について~

 

冬期休暇、というよりはフィンランドのクリスマス及びクリスマスシーズンについて書きたいと思います。

フィンランドのクリスマスシ-ズンは11月の末頃から始まります。今年は11月の18・19日がクリスマス開始の日でした。町の中心地にはサンタクロ-スがやってきて、クリスマスの訪れを告げるとともに、スノ-マンや子供たちが扮する妖精(トントゥ)や雪の精霊達と一緒にクリスマスを祝います。会場には子供ずれの親子が大勢いたり、ささやかな屋台なども出展されていてとても賑わっていました。市街地の大通りではこの日からイルミネ-ションが点灯され、暗い夜空を照らします。イルミネ-ション自体はとてもシンプルなものなので、日本のもののほうが華やかに感じます。

 

 

フィンランドの冬は日が落ちるのがとても早く、3時過ぎにはもう真っ暗になっています。それに加え、気温は連日氷点下を下回る日が続いています。そのような環境をフィンランドの方々は毎年どのようにして乗り越えているのか、を伺ったところ、12月はクリスマスを迎えることを楽しみにして乗り越え、1月と2月はクロスカントリ-やスケ-ト、アイスホッケ-などのウィンタ-スポ-ツを楽しむことで乗り越えているのだそうです。実際に、1月を過ぎたあたりからアイスホッケ-のスティックを持った子供たちや、クロスカントリーを楽しんでいる人をよく見かけます。老若男女問わず、大人から子供まで皆が楽しんで寒く厳しい冬を乗り越えているようです。

 

話を元に戻しまして、クリスマスシ-ズンにはクリスマスマケ-トが開かれます。開催時期や開催期間は地域によって異なります。あいにくJoensuuでは数日間しか開催されていませんでしたが、手作りの小物や、ジンジャ-クッキ-でできた家などの伝統的な物を手に入れることができます。私は機会があり、Tampereのクリスマスマ-ケットにも行くことができました。Joensuuのものとはまた少し違っていて、余裕があるのでしたらいろいろな地域のクリスマスマ-ケットを巡ってみるのも面白かと思います。

 

 

 

クリスマスには伝統的な食べ物が多くあり、この時分からス-パ-でも売られ始めます。クリスマスの2週間前から少しずつ、毎日1品ずつ順番に作っていき、当日には机に乗り切らないようぐらいのたくさんの料理が食卓に並びます。正確な数は分かりませんが、フィンランドには約30種類以上のクリスマスにちなんだ伝統的な料理があるそうです。最近では手作りせずに、出来合いのものを買ってきて済ませてしまう家庭も多いようです。そのあたりは少し日本の御節事情に似ていると思います。

 

 

もうひとつの伝統として、蝋燭の灯りが映える頃になると家族みんなで蝋燭をもって教会の墓地へ向かいます。個人の墓を持っている人はそこに蝋燭やリ-スなどを飾り付けて故人を偲びます。個人の墓を持っていない人のための蝋燭置き場も設けられていて、ほとんどの人はその場所に蝋燭を備えています。電柱がなく、蝋燭の灯火が暗闇の中で連なっている光景はとても幻想的でした。

 

 

 

 

家に帰ってからはサウナに入って冷えた体を温めます。フィンランドのサウナは日本のサウナよりも入りやすくて、頑張れば約1時間程度なら休憩を挟まないでも入れます。ですが、15分間隔で休憩を挟むのが一般的です。家族みんながサウナに入り終わってから晩御飯を食べ、そしてプレゼント交換を行います。小さい子供がいる家には本当にサンタクロ-スが家を訪ねに来てくれます。私は運よくサンタクロ-スと遭遇することができました。最後の子供の家だったようで、少し疲れていましたが「メリ-クリスマス」と言ってもらえたのは良い思い出です。ホンダの車に乗って颯爽と去っていったのも良い思い出です。

墓地に向かう間も、サウナに入るときも、ご飯を食べるときもゆっくりと会話を楽しみます。時間の流れる速さは変わらないはずなのですが、この日ばかりは何時もよりゆったりと、そしてとても暖かい時間が流れているように感じます。家族や大切な人と過ごす時間を大切にしている。そういう印象を強く受けました。

 

 

 

 

 

フィンランドのクリスマスは日本の正月とよく似ていて、家族や親しい人を訪ねたり、寺院に参拝しに行く代わりに教会の墓地に行ったり、正月明けにあるバ-ゲンセ-ルがクリスマス明けに催されていたりと、似ているところを多く発見することができます。普段は人通りが少なくても、クリスマス明けには多くの人達が買い物を楽しんでいます。フィンランドの方々は本当にクリスマスを大切にしているのだと思いました。