龍谷大学グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

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デュースブルグエッセン大学マンスリーレポート

デュースブルグエッセン大学

2016年3月号 国際文化学部 R.S

レポート作成国際文化学部 R.S

1 この留学を振り返って

 

私は龍谷大学ではナショナリズム、歴史認識をテーマに研究をしてきました。私がそのテーマに関心を持ったのは、大学二回生時にポーランドにあるアウシュビッツ博物館を訪問したことがきっかけでした。ホロコースト時代について欧州諸国が共通の歴史認識を持つことを目的に作成した「欧州共通歴史教科書」の存在を知りました。その取り組みに関心を持ち、同様に「日中韓歴史教科書」を作成すれば偏った歴史認識を排除し、今に至る領地問題などの解決に役立てるのではないかと考えました。しかし、現実は私が想像するような単純なものではなく、歴史を偏りなく中立に記すことの困難さ、共通教科書作成する上での障害などの多くの問題点を知りました。ゼミの仲間たちと様々な打開案を出し合いましたが、問題をすべて解決できるほどの完璧な打開策を得ることはできませんでした。しかし、それは失敗ではなく、私にとって大きなモチベーション、留学を志すきっかけになりました。

歴史学を学べるカリキュラムがあるデュースブルグ・エッセン大学への留学を志し、ドイツ語もほぼゼロの状態から勉強して交換留学の席を手に入れることができました。留学合格通知が来て安心していたのは束の間で、本当に辛かったのはやはり留学してからでした。前期の授業では、教科書とのにらめっこで、授業の内容を半分理解できれば良いほうでした。そのため、前期はドイツ語の語学授業を多く受講し、ドイツ語力をあげることに徹しました。最初は授業内容に頭がついていかず、特に2週間毎日あった夏期集中講習ではインプットできないまま毎日新しいことを頭に押し込まなければならないことと、他の学生が自分より何倍もできること、伝えたいのに伝える力がないもどかしさに精神的に折れたり、体調を崩すこともありました。

それでも、ただがむしゃらに勉強していた訳ではなく自分なりに計画を立てて実行していました。周りの既に数年間ドイツにいる学生に対して、圧倒的にドイツ語に接する機会が足りていないと感じていたので、まずは常にドイツ語が聞こえている環境に慣れるようにしました。インターネットでテレビを観たり、ラジオを聴いたり、課外活動に参加するなど授業だけでなく日常のドイツ語に慣れるようにしました。また、授業中に知らない単語に出会うと、間違えることを恐れて電子辞書に頼ってしまいたくなりますが、なるべく辞書を使わず先生の説明を聞いて理解することを心がけました。そうすることで、ドイツ語をドイツ語で理解できるようになり耳も鍛えられ、単語を他の単語とコネクトして考える能力がつき記憶に定着しやすくなったと感じました。また、自分の弱点を認識し、不得意部分を集中的に見直していきました。一年と言う短い期間で効率的に勉強するために、自分に必要なものと今必要ではないものとを優先順位をつけ、授業で出された課題も選んでやっていました。真面目な学生ではなかったかもしれませんが、優しい先生の理解とフレンドリーな他の学生の助けもあり、時間をかけて徐々に周りの学生と同じペースで授業に参加することができるようになりました。そのおかげか、語学に対しても前より自信がつき、授業でも余裕を持てるようになり、後期の授業はかなり楽になりました。専門的な講義内容もほとんど辞書を使わずに理解できるようになり、課題で出される資料や学術書籍を他のドイツ語を母国語とする学生と同じように、かなりスローペースではありますが読めるようになりました。一番成長を感じた瞬間は、周りのひとから耳が良いと言われるようになったことです。英語を勉強していたときからリスニングはむしろ一番不得意な分野でした。でも、最初から苦手意識を持っていた分よく対策をしていたので、一番伸びが見られた部分だと思いますし、まわりからの評価があったことが何より嬉しかったです。これから留学を始める人、ドイツ語を勉強する人の少しでも参考になればと思います。

 

 

2 帰国後どう留学経験を活かす予定か

 

ドイツでの生活の中で、今日は何人難民がヨーロッパに渡り、それに対し今日はどのような対策が打たれたか、毎日更新される生々しい情報がラジオやテレビから絶え間なく報道され、嫌でも耳にします。そんな最中、ふと日本のニュースを見ると芸能人の麻薬、不倫騒動、アイドルの解散騒動が異常に大きく取り上げられています。それをみたとき、海の向こうで起こっている大事件は日本には関係ないのかと気の抜ける思いでした。ドイツの難民大量受け入れ、パリ同時テロ、ケルン集団暴行事件、各地で白熱するデモ活動など歴史に残る出来事が、私がドイツにいた2015年4月から2016年3月の間に多くありました。それと同時に、日本でも集団的自衛権が可決され、TPPの大幅合意、慰安婦問題の進展、選挙権年齢の引き下げなど、大きな変化があった一年でした。ニュースの背後にはそこに至るまでの歴史があり、その歴史を知ることで出来事が物語として鮮明になります。日本を含めた世界で加速する現代のグローバリゼーションによって、今後も多くの問題が表面化し、政策の問い直しがされると思います。それに対し、世論に流されず自分自身の意見を持ち、問題と積極的に関わっていくために、正しい歴史を学び、私たちが日常的に受けている情報がいかに編集され加工されたものだと言うことを理解しながら受け止めていかなければならないと思いました。そして、今後の具体的な目標はまだありませんが、若い世代が少しでも自分たちの社会や政治に興味を持ち、関わろうとする社会をつくるひとりになりたいと思いました。

正直のところ、留学前に掲げていた目標において、留学を終えて達成できたことと、達成できなかったことと両方あります。しかし、達成が終わりを意味する訳でも、できなかったから失敗だったと言う単純なことではないと思っています。留学を終えたことはひとつの分岐点であり、大学卒業して社会に出ても勉強は続きます。そう思えたのは、ドイツで会った人々のおかげです。

一年の留学を通して、一番刺激を受けたのは私と同じドイツに来ている日本人留学生かもしれません。この大学に来ている日本人留学生の中には、大学での自身の研究テーマを持ってドイツに来ているひとが多くいました。例えば、過去にルール地帯のひとつとしてドイツの産業を支えていたデュースブルグやエッセンの地域政策を学んでいる学生、ドイツの環境法に興味をもって勉強している法学部の学生、私と同じで歴史を学んでいる学生、ドイツにおける英語教育を学び日本で英語教員を目指す学生など。とても癖のある人ばかりでしたが、そんな人たちと留学生活を送り、意見を交換できたことは本当に楽しく、勉強のモチベーションになりました。

 

就職活動を先延ばしにして留学することを許し、背中を押してくれた家族。

この留学を提案して頂き、たくさん助けてくださった先生。

優しい言葉とたくさんの刺激をくれた友人たち。

みんなに感謝したいです。

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