Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

中国人民大学
2011年10月号 経済学部 S.E

国際文化祭について

こちら中国人民大学では十月十六日~二十一日にわたって国際文化祭が開催されました。

日本チームは主に十六日のブース出展と、二十一日の閉幕式における出し物に参加しました。前者は展示スペースで各国の文化を広めるとともに、特色のあるものを販売するという催しで、日本ブースは手作りの巾着袋とたこ焼き、餅を売り、特に餅つきの実演では大勢の観客が集まりました。

 

 

 

 

 

 

ついで週末の出し物は北野武監督の映画『座頭市』のワンシーン、タップダンスの部分をアレンジして発表しました。こちらの院生の先輩が自ら振付を担当し、総勢十八名が約二週間にわたって特訓しました。発表当日、会場は大歓声に包まれました。

 

 

 

 

普段このようなことはめったに体験できるものではありませんし、ましてや外国でとなるとこれがおそらく人生で一回きり経験になるでしょう。いい言葉が見つかりませんが本当に楽しかったです。

 

一年を振り返って

二月に北京に来て以後、日本では東日本大震災が起こり、中国やその他海外でも事故や災害が続き、我々の周囲の環境もいろいろと変化していきました。そして八か月余りが過ぎ、とうとう留学生活を振り返るべき時期がやってきました。

交換留学生として有意義に過ごせたかと問われれば、100パーセントそうであったとは言えませんし、むしろ反省すべき点が多々ありますが、今回は私の留学生活においての大きな収穫を三つ報告したいと思います。

一つ目は“知る“ことに積極的になれたことです。国内にいる限り、基本的に情報に対して、テレビなどのメディアから一方的に流れてくるのを待つばかりで、受動的な態度をとりがちだと思います。私はそうして”世論“に流されたり、何となく知ったようなつもりになって満足したりすることが常でした。しかしこちらに来て、ある程度情報が遮断された状態に置かれてからは、「自分で見てみよう」「知りたいから聞いてみよう」という気持ちが生まれました。所詮私が理解できることなど、現実のほんの一部に過ぎませんが、それでも自らの経験として何かを知ることができたというのは、自分にとっては大きな進歩だと感じています。

二つ目は海外に対する認識が変わったことです。今までは「○○国はこういう国」とか「○○人はこういう人」といった偏った印象を持っていたのですが、こちらで実際の中国人を含めた海外の人と触れ合う中で、どの国にも当然いろんな考え方の人がいて、国や地域というものは、結局そういった人々の集まりに過ぎないということや、仮に二国間の関係が良くなかったとしても、時間をかければ両国の人間同士は分かりあうことができるという当たり前のことにようやく気が付きました。

三つ目は外から日本を見ることができたことです。日本は環境が整っていて、とても過ごしやすい国です。正直なところ日本国内にいる時、わざわざ余分な苦労をしてまで外国へ出ていく必要はないと思っていました。しかしこちらで海外の学生と交流する中で、いくつかの日本の問題点が見えてきました。他国に比べ英語のレベルが低いということもその内の一つです。こちらでの留学生を見る限り、母国語+英語というのが最低ラインで、そこから中国語を勉強するというのが基本のようです。ある友人は六か国語(それぞれの言語体系が比較的近いとはいえ)を操ります。彼曰く、「自国だけ見ていては生きていけないから」外国語を学ぶそうです。

しかし多くの日本人学生は英語を十年近く習ったはずなのにほとんど話せません。これには日本の生活の快適さが、マイナスに働いているのかもしれません。

 

帰国後の予定

私は幸運にも大学の交換留学の制度を利用して、一年間中国に留学することができました。この間様々なことを経験し、自らの考え方も大きく変わりました。就職に関しても以前は海外で働いてみたいと思ったことはほとんどありませんでしたが、現在はこちらでの採用も検討しています。

まず語学の面に関してですが、残念ながら私の場合、この一年間だけでは「中国語を勉強した」とは言えても、「母国語並み」レベルまでには達することができませんでした。十月の段階ではHSKの六級を受験すらしていませんし、中国語を自らの武器として使えるようになるには最低でもあと二年は必要になると思います。帰国後、大学の卒業要件を満たしたのち、再び北京に戻って語学留学+大学院で勉強できないものかと、奨学金の申請なども含めて考えています。

次に人生経験の面では、違う国の人と同居したり、日本とは大きく異なる環境の中で生活したり、ほかにもいろいろと不便はありました。いまだにうまくトラブルを回避する術は持っていませんが、しかしそれらを笑ってやり過ごせるだけの度胸は身に付きました。これは先の人生において大きな財産になると確信しています。

まだ終わったわけではないので、自分の留学生活が成功であったかどうかは分かりませんが、この一年で得たものを最大限に生かせるよう心がけたいです。